2011.06.29 (Wed)
J.J.エイブラムスが書くプロットは、いつもワクワクさせてくれる。
「LOST」の次々と湧き出てくる謎や、
「スター・トレック」で平行世界を利用したトリッキーな設定改変、
初監督作の「M.I.III」以外は、どれも導入部が一番面白い。
プロットのアイデアだけに頼った作品は、往々にして、
広げた風呂敷をたためずに、尻すぼみになるものだが、
J.J.エイブラムスはきっちりとキャラクターの心情の変化を描いて、
ストーリーを掘り下げる事ができる数少ない監督の一人だ。
そんなJ.J.エイブラムスが敬愛しているのが、
スティーブン・スピルバーグで、
この二人がタッグを組んだ作品が本作だ。
脚本を担当した「ロード・キラー」で「激突!」にオマージュを捧げるなど、
以前からJ.J.エイブラムスのスピルバーグ好きは顕著であったが、
今回はスピルバーグ公認だからなのか、
これでもか!とスピルバーグ作品への愛を詰め込んでいる。
「E.T.」をベースに、「グーニーズ」的な、ワクワクする子供たちの描写、
「未知との遭遇」のような不気味なスケール感。
ブラックな描写をサラリと差し込んでくる演出法も、
スピルバーグへの目配せだったりするのが、嬉しい。
スピルバーグ作品への愛情をたっぷり詰めつつも、
怪獣映画としてのワクワクドキドキ感もしっかり忘れない演出は秀逸だ。
さらに、「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」のような、
冒険心をくすぐるディテールの描写が本当に良くできている。
スーパー8でゾンビ映画を撮影をするくだりなんかは、
学生時代の自主制作を思い出して、ずっとニヤニヤしてしまった。
シングル8と違って、同時録音ができるスーパー8は、
映画製作を志した人なら、一度は触った事があるはずだ。
もちろん、スーパー8自体はストーリーを転がす小道具に過ぎず、
ストーリーの軸になるのは、正体不明の怪獣らしき生物。
この怪獣が巻き起こす事件のシークエンスが、
「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」の再現になっているので、
思わず笑ってしまう。
あと、何よりも主演の二人がとても良かった。
主人公のジョエル・コートニーのイノセントな雰囲気や、
ヒロインのエル・ファニングの表情豊かな演技のおかげで、
クサくなりそうなシーンも自然に表現できているのが素晴らしい。
ラストシーンの「E.T.」に対するオマージュにも感動した。
オマージュって、制作者の自己満足とも取られる事があるのだけれど、
この作品に限っては「スピルバーグ作品」という、ひとつのスタイルに対する、
新しい提示の仕方だと思う。
最初から最後まで映画愛が溢れる傑作だった。
ウエダでした。
「LOST」の次々と湧き出てくる謎や、
「スター・トレック」で平行世界を利用したトリッキーな設定改変、
初監督作の「M.I.III」以外は、どれも導入部が一番面白い。
プロットのアイデアだけに頼った作品は、往々にして、
広げた風呂敷をたためずに、尻すぼみになるものだが、
J.J.エイブラムスはきっちりとキャラクターの心情の変化を描いて、
ストーリーを掘り下げる事ができる数少ない監督の一人だ。
そんなJ.J.エイブラムスが敬愛しているのが、
スティーブン・スピルバーグで、
この二人がタッグを組んだ作品が本作だ。
脚本を担当した「ロード・キラー」で「激突!」にオマージュを捧げるなど、
以前からJ.J.エイブラムスのスピルバーグ好きは顕著であったが、
今回はスピルバーグ公認だからなのか、
これでもか!とスピルバーグ作品への愛を詰め込んでいる。
「E.T.」をベースに、「グーニーズ」的な、ワクワクする子供たちの描写、
「未知との遭遇」のような不気味なスケール感。
ブラックな描写をサラリと差し込んでくる演出法も、
スピルバーグへの目配せだったりするのが、嬉しい。
スピルバーグ作品への愛情をたっぷり詰めつつも、
怪獣映画としてのワクワクドキドキ感もしっかり忘れない演出は秀逸だ。
さらに、「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」のような、
冒険心をくすぐるディテールの描写が本当に良くできている。
スーパー8でゾンビ映画を撮影をするくだりなんかは、
学生時代の自主制作を思い出して、ずっとニヤニヤしてしまった。
シングル8と違って、同時録音ができるスーパー8は、
映画製作を志した人なら、一度は触った事があるはずだ。
もちろん、スーパー8自体はストーリーを転がす小道具に過ぎず、
ストーリーの軸になるのは、正体不明の怪獣らしき生物。
この怪獣が巻き起こす事件のシークエンスが、
「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」の再現になっているので、
思わず笑ってしまう。
あと、何よりも主演の二人がとても良かった。
主人公のジョエル・コートニーのイノセントな雰囲気や、
ヒロインのエル・ファニングの表情豊かな演技のおかげで、
クサくなりそうなシーンも自然に表現できているのが素晴らしい。
ラストシーンの「E.T.」に対するオマージュにも感動した。
オマージュって、制作者の自己満足とも取られる事があるのだけれど、
この作品に限っては「スピルバーグ作品」という、ひとつのスタイルに対する、
新しい提示の仕方だと思う。
最初から最後まで映画愛が溢れる傑作だった。
ウエダでした。
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