2010.02.18 (Thu)
最近、アカデミー賞や「アバター」の興行成績ばかりに気を取られていて、
映画日記の更新が滞っていたので、久しぶりに更新。
というか、「アバター」の日本国内の興行収入も100億円を突破したとか。
もはやバケモノですな。あの作品は。
01/25
【トゥルー・ライズ(1994)】
最近、「アバター」つながりで、
キャメロン作品をちょくちょく観る。
「アビス」と同様、久しぶりに観たのだが、
アクションシークエンスの編集は素晴らしいし、
ストーリーもあって無いようなものだから、
キャメロン作品の中で、唯一気楽に楽しめる。
特に、クライマックスにおけるセブンマイルブリッジでの
カーアクション、実機ハリアーとCGミサイルの合成、
ミニチュア撮影、今観ても全てのクオリティーが一級品だ。
当時としては、最高額の1億2000万ドルの制作費を
注ぎ込んだ事でも話題になった。
あと、キャメロンが設立したVFX会社デジタルドメインの
初仕事もこの作品だ(それと「インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア」)。
今でも覚えているのが、グリーンバック撮影を
取り入れている事をCinefexで読んで、驚いたこと。
あの色って、ただの成り行きだと思っていたけど、
ブルーバックだと、欧米人の青い目やブルー系の衣装まで抜けてしまうとか、
色々デメリットの方が多いという事で、輝度の高いグリーンを使用するという
事にも驚いた。
今では当たり前になってきているけど、
当時は新鮮だったなぁ・・・。
って、この作品を初めて観てから16年も経っていた事に
気付いてしまった。
時が経つのって、恐ろしい・・・。
01/26
ナシ
01/27
ナシ
01/28
ナシ
01/29
【チェンジリング(2009)】
嘘のような本当の話とは、まさにこの事。
息子を誘拐された母親を演じるのは、
離婚するとかしないとかで話題のアンジェリーナ・ジョリー。
1928年にロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット事件の映画化。
誘拐された息子が無事保護されて5ヶ月ぶりに帰って来た。
自分の息子が無事帰ってきてホッとするかと思いきや、
これがまったくの別人。
この時点で、かなりゾッとする展開なのだが、
ロス市警の警部(こいつがそもそもの元凶)が、
不祥事続きだったロス市警のイメージアップに、
この事件を利用していたばかりに、間違いの発覚を恐れて、
無理矢理子供を引き取らせてしまう。
ここからがイーストウッド演出の真骨頂で、
真っ黒に病んだ体制が、一人のシングルマザーを
強引に丸め込んでいく様をじっくりと描く。
警察の執拗な妨害に合いながらも、息子を探すために
あらゆる手段を講じていくアンジーの演技は、中々のもの。
そういう大人が感じる恐怖よりも何よりも、
イーストウッド演出が恐ろしいのは、
ニセの息子に関する描写である。
まったく悪びれる事もなく、緊張してボロを出すわけでもなく、
無垢な表情でアンジーに抱きつくカットや、
黙々と食事をするカットは不気味そのもの。
間違いなく「自分は本当の息子ではない」という事実を知りながら、
日常を過ごしているあたり、「本当の闇」がサラリと描かれる。
ストーリーが進むごとに、徐々に事件の全貌が分かってくるあたりのコワさは、
実話ならではリアリティーがある。
基本的にドラマチックに描いているので、
ラストは感動的ではあるが、ニセ物の息子が食事をするシーンが忘れられない。
ちょこざいなテクニックをひけらかす事なく、
ストレートに事件を描いたイーストウッド演出はスゴかった。
01/30
【Dr.パルナッサスの鏡(2009)】
貯まっていたポイントを使って、鑑賞。
しかも観たい映画が盛り沢山だったので、
なんと、3連チャンを敢行!!!!
一本目は久しぶりのテリー・ギリアム作品。
ヒース・レジャーの急死で、完成が危ぶまれたが、
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの三人が代役を務める事で、
完成にこぎつけた作品として話題になった。
ギリアムといえば、誰も死ななくても、
なかなか完成させられない映画作家だが、
今回はスムーズに完成。
前作「ブラザー・グリム」では、これほどまでにCGIとギリアムのビジョンは
相性が悪いのかとガッカリさせられたが、今回はドンピシャでハマった。
ギリアムの作り出す、めくるめく幻想的な映像は、
「クリムゾン 老人は荒野をめざす」や「未来世紀ブラジル」を彷彿とさせる
アナログテイスト。
これこそがギリアムならではのCGIの使い方だ。
宗教すら笑いにしてしまうギリアムが考えたストーリーも、
強烈なジョークが隠されていて、めちゃくちゃ面白い。
とはいえ、シュールなギリアムワールドが色濃いので、
ギリアムの世界観が理解できない人は、あまり面白くないかも。
という事で、一本目でお腹いっぱい。
3本も観れるのか・・・。
【かいじゅうたちのいるところ 吹替版(2009)】
2本目という事もあって、箸休め的に日本語吹替版を鑑賞。
スパイク・ジョーンズの「アダプテーション(2002)」以来、
7年ぶりの監督作。
その作品というのが、モーリス・センダックが1964年に発表した絵本の映画化。
こういう目のつけどころが、なんかオシャレな感じがするのが、
スパイク・ジョーンズで、どうしようもなくダメな感じがするのが、
チャーリー・カウフマン(笑)
チャーリー・カウフマンって、ダメな作家ばっかり主人公にするのだが、
どれも自分自身がモデルってのが問題なんだな・・・。
スパイク・ジョーンズはというと、映像と音楽でストーリーを語ろうとするので、
俳優の演技は研ぎすまされ、音楽はカッコイイ・・・という感じ。
ほとんどのシーン(全編?)が手持ち撮影なのだが、
この覗き見視点が、心優しい怪物が住む島を、主人公の少年と一緒に
冒険しているような感覚になって、非常に楽しい。
ジム・ヘンソンスタジオが手掛けた着ぐるみは、
暖かみがあって素晴らしい出来だ。
そこへCGIで表情を付けて、さらに良くなっている。
(若干リアルすぎてキモい部分もあるが・・・)
なによりも、主人公の少年役マックス・レコーズの
自然な演技は一級品。
目の動きで動揺を表現できたりしているのは、
演出の賜物か、この子の才能なのかは不明だが、
とても9歳(撮影当時)とは思えない。
ストーリーは、クソガキに引っ掻き回される怪物達の話・・・
要約するとこんな感じなのだが、何故かラストは感動してしまう
「ドラエもん効果」がここにも。
そして、映画館を出ても頭の中でカレン・Oの「ALL IS LOVE」が、
ループ再生されるという病気が発症。
症状を抑えるために、サントラでも買って帰ろうか。
【ラブリーボーン(2009)】
やっとこさ、3本目。
もう夜の20時過ぎ。
歴史的傑作LOTRの大監督ピーター・ジャクソンの新作なのだから、
心して観ようと、かなり気合いを入れて鑑賞。
結論からいうと、意外にもピージャクっぽいグロい演出と、
原作の切なく、爽やかなテイストが上手く混ざって、
新しい感覚の傑作だった。
原作は、2002年に発表したアリス・シーボルトの小説で、
レイプされて殺された少女が、恐らく天国から家族や初恋の男、
殺人犯の顛末を見届けるという「大霊界」な内容。
全て少女の視点で描かれるため、生きてる登場人物を演じる俳優は、
できるだけ説明的な演技ではなく、ちょっとした仕草や感情の出し方で
きめ細かに表現していて、目が離せない。
特に娘を失った後の父親役マーク・ウォルバーグや母親役レイチェル・ワイズ、
疑惑を向けられた時の殺人犯役のスタンリー・トゥッチの演技は、
めちゃくちゃ上手い。
天国の表現に関しては「奇蹟の輝き(1998)」が素晴らしすぎたため、
どうしても似てしまうのは仕方が無い。
ただ、ピージャクが本領を発揮するのは殺人犯の描写である。
スタンリー・トゥッチが、地下室で錆び付いた金庫を見つめるシーンは、
恐ろしすぎる。
ゾッとするカットに、淡々した少女のナレーションがかぶさるのだが、
これが不思議な感じ。
ラストカットも、かなり絶望的なカットなのに、
何故か解放されたような爽やかさが漂う。
お馴染みの映画オタク的なピージャク作品だと思って観ると、
しっくり来ないだろうが、あえていうなら「乙女の祈り(1994)」の方向性。
でも、久しぶりに「ブレインデッド(1992)」みたいな
ピージャク作品も観てみたいなぁ。
巨匠ぽくなってしまったので、無理だろうけど・・・。
て事で、3本達成!!!
お疲れさまでした。
01/31
ナシ
ウエダでした。
映画日記の更新が滞っていたので、久しぶりに更新。
というか、「アバター」の日本国内の興行収入も100億円を突破したとか。
もはやバケモノですな。あの作品は。
01/25
【トゥルー・ライズ(1994)】
最近、「アバター」つながりで、
キャメロン作品をちょくちょく観る。
「アビス」と同様、久しぶりに観たのだが、
アクションシークエンスの編集は素晴らしいし、
ストーリーもあって無いようなものだから、
キャメロン作品の中で、唯一気楽に楽しめる。
特に、クライマックスにおけるセブンマイルブリッジでの
カーアクション、実機ハリアーとCGミサイルの合成、
ミニチュア撮影、今観ても全てのクオリティーが一級品だ。
当時としては、最高額の1億2000万ドルの制作費を
注ぎ込んだ事でも話題になった。
あと、キャメロンが設立したVFX会社デジタルドメインの
初仕事もこの作品だ(それと「インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア」)。
今でも覚えているのが、グリーンバック撮影を
取り入れている事をCinefexで読んで、驚いたこと。
あの色って、ただの成り行きだと思っていたけど、
ブルーバックだと、欧米人の青い目やブルー系の衣装まで抜けてしまうとか、
色々デメリットの方が多いという事で、輝度の高いグリーンを使用するという
事にも驚いた。
今では当たり前になってきているけど、
当時は新鮮だったなぁ・・・。
って、この作品を初めて観てから16年も経っていた事に
気付いてしまった。
時が経つのって、恐ろしい・・・。
01/26
ナシ
01/27
ナシ
01/28
ナシ
01/29
【チェンジリング(2009)】
嘘のような本当の話とは、まさにこの事。
息子を誘拐された母親を演じるのは、
離婚するとかしないとかで話題のアンジェリーナ・ジョリー。
1928年にロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット事件の映画化。
誘拐された息子が無事保護されて5ヶ月ぶりに帰って来た。
自分の息子が無事帰ってきてホッとするかと思いきや、
これがまったくの別人。
この時点で、かなりゾッとする展開なのだが、
ロス市警の警部(こいつがそもそもの元凶)が、
不祥事続きだったロス市警のイメージアップに、
この事件を利用していたばかりに、間違いの発覚を恐れて、
無理矢理子供を引き取らせてしまう。
ここからがイーストウッド演出の真骨頂で、
真っ黒に病んだ体制が、一人のシングルマザーを
強引に丸め込んでいく様をじっくりと描く。
警察の執拗な妨害に合いながらも、息子を探すために
あらゆる手段を講じていくアンジーの演技は、中々のもの。
そういう大人が感じる恐怖よりも何よりも、
イーストウッド演出が恐ろしいのは、
ニセの息子に関する描写である。
まったく悪びれる事もなく、緊張してボロを出すわけでもなく、
無垢な表情でアンジーに抱きつくカットや、
黙々と食事をするカットは不気味そのもの。
間違いなく「自分は本当の息子ではない」という事実を知りながら、
日常を過ごしているあたり、「本当の闇」がサラリと描かれる。
ストーリーが進むごとに、徐々に事件の全貌が分かってくるあたりのコワさは、
実話ならではリアリティーがある。
基本的にドラマチックに描いているので、
ラストは感動的ではあるが、ニセ物の息子が食事をするシーンが忘れられない。
ちょこざいなテクニックをひけらかす事なく、
ストレートに事件を描いたイーストウッド演出はスゴかった。
01/30
【Dr.パルナッサスの鏡(2009)】
貯まっていたポイントを使って、鑑賞。
しかも観たい映画が盛り沢山だったので、
なんと、3連チャンを敢行!!!!
一本目は久しぶりのテリー・ギリアム作品。
ヒース・レジャーの急死で、完成が危ぶまれたが、
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの三人が代役を務める事で、
完成にこぎつけた作品として話題になった。
ギリアムといえば、誰も死ななくても、
なかなか完成させられない映画作家だが、
今回はスムーズに完成。
前作「ブラザー・グリム」では、これほどまでにCGIとギリアムのビジョンは
相性が悪いのかとガッカリさせられたが、今回はドンピシャでハマった。
ギリアムの作り出す、めくるめく幻想的な映像は、
「クリムゾン 老人は荒野をめざす」や「未来世紀ブラジル」を彷彿とさせる
アナログテイスト。
これこそがギリアムならではのCGIの使い方だ。
宗教すら笑いにしてしまうギリアムが考えたストーリーも、
強烈なジョークが隠されていて、めちゃくちゃ面白い。
とはいえ、シュールなギリアムワールドが色濃いので、
ギリアムの世界観が理解できない人は、あまり面白くないかも。
という事で、一本目でお腹いっぱい。
3本も観れるのか・・・。
【かいじゅうたちのいるところ 吹替版(2009)】
2本目という事もあって、箸休め的に日本語吹替版を鑑賞。
スパイク・ジョーンズの「アダプテーション(2002)」以来、
7年ぶりの監督作。
その作品というのが、モーリス・センダックが1964年に発表した絵本の映画化。
こういう目のつけどころが、なんかオシャレな感じがするのが、
スパイク・ジョーンズで、どうしようもなくダメな感じがするのが、
チャーリー・カウフマン(笑)
チャーリー・カウフマンって、ダメな作家ばっかり主人公にするのだが、
どれも自分自身がモデルってのが問題なんだな・・・。
スパイク・ジョーンズはというと、映像と音楽でストーリーを語ろうとするので、
俳優の演技は研ぎすまされ、音楽はカッコイイ・・・という感じ。
ほとんどのシーン(全編?)が手持ち撮影なのだが、
この覗き見視点が、心優しい怪物が住む島を、主人公の少年と一緒に
冒険しているような感覚になって、非常に楽しい。
ジム・ヘンソンスタジオが手掛けた着ぐるみは、
暖かみがあって素晴らしい出来だ。
そこへCGIで表情を付けて、さらに良くなっている。
(若干リアルすぎてキモい部分もあるが・・・)
なによりも、主人公の少年役マックス・レコーズの
自然な演技は一級品。
目の動きで動揺を表現できたりしているのは、
演出の賜物か、この子の才能なのかは不明だが、
とても9歳(撮影当時)とは思えない。
ストーリーは、クソガキに引っ掻き回される怪物達の話・・・
要約するとこんな感じなのだが、何故かラストは感動してしまう
「ドラエもん効果」がここにも。
そして、映画館を出ても頭の中でカレン・Oの「ALL IS LOVE」が、
ループ再生されるという病気が発症。
症状を抑えるために、サントラでも買って帰ろうか。
【ラブリーボーン(2009)】
やっとこさ、3本目。
もう夜の20時過ぎ。
歴史的傑作LOTRの大監督ピーター・ジャクソンの新作なのだから、
心して観ようと、かなり気合いを入れて鑑賞。
結論からいうと、意外にもピージャクっぽいグロい演出と、
原作の切なく、爽やかなテイストが上手く混ざって、
新しい感覚の傑作だった。
原作は、2002年に発表したアリス・シーボルトの小説で、
レイプされて殺された少女が、恐らく天国から家族や初恋の男、
殺人犯の顛末を見届けるという「大霊界」な内容。
全て少女の視点で描かれるため、生きてる登場人物を演じる俳優は、
できるだけ説明的な演技ではなく、ちょっとした仕草や感情の出し方で
きめ細かに表現していて、目が離せない。
特に娘を失った後の父親役マーク・ウォルバーグや母親役レイチェル・ワイズ、
疑惑を向けられた時の殺人犯役のスタンリー・トゥッチの演技は、
めちゃくちゃ上手い。
天国の表現に関しては「奇蹟の輝き(1998)」が素晴らしすぎたため、
どうしても似てしまうのは仕方が無い。
ただ、ピージャクが本領を発揮するのは殺人犯の描写である。
スタンリー・トゥッチが、地下室で錆び付いた金庫を見つめるシーンは、
恐ろしすぎる。
ゾッとするカットに、淡々した少女のナレーションがかぶさるのだが、
これが不思議な感じ。
ラストカットも、かなり絶望的なカットなのに、
何故か解放されたような爽やかさが漂う。
お馴染みの映画オタク的なピージャク作品だと思って観ると、
しっくり来ないだろうが、あえていうなら「乙女の祈り(1994)」の方向性。
でも、久しぶりに「ブレインデッド(1992)」みたいな
ピージャク作品も観てみたいなぁ。
巨匠ぽくなってしまったので、無理だろうけど・・・。
て事で、3本達成!!!
お疲れさまでした。
01/31
ナシ
ウエダでした。
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