2009.12.03 (Thu)
最近、友人の強い勧めで「不毛地帯」を読み始めた。
名作と言われているだけあって、確かに面白いのだが、
HDDレコーダーにドラマを録画しているので、
それを観ちゃえばさっさと分かるじゃん!と言ったところ、
ドラマはかなり端折っているので、原作を読んでからの方が良いとのこと。
しかし、ダメだと言われると観たくなるのが人間というもの。
日々、ドラマを観たい衝動と戦っているのだが、もう時間の問題だ・・・。
11/24
【ワルキューレ(2008)】
「イングロリアス・バスターズ」つながりで、
ナチスムービー(サマラムービーみたい)祭り。
1944年に実際に起きたヒトラー暗殺事件を描く。
史実を知っていれば、
この暗殺計画が未遂の終わるのは明らかなので、
この作品のハードルはかなり高い。
しかし、監督のブライアン・シンガーが注力したのは、
じっくりと暗殺計画を描く事。
サスペンスを盛り上げるためにあの手この手で派手な趣向を凝らさず、
真っ正面から登場人物の目的や理想、葛藤を丁寧に描いている。
それが功を奏して、かなり面白く仕上がっている。
1943年、ドイツはほとんどの戦線で負けまくっていたにも関わらず、
ヒトラーは戦争を止めようとしなかった。
そこで、一部の将校がワルキューレ計画を実行する。
このワルキューレ計画というのが、クーデター時の対策案で、
国内に戒厳令をひき、全官庁、党機関、通信など全てを掌握するというもの。
この映画で描かれるワルキューレ計画とはクーデターの成功までを指す。
つまり、戒厳令によってスムーズに政権移行ができる特性を利用して、
ヒトラーやヒムラーなどのナチス党の首脳陣をまとめて爆殺し、
通信を巧みに利用して、周囲にクーデターだと匂わせずに政権を掌握するという、
かなりの難ワザ。
計画から実行、収束までを、きっちり2時間かけて描き切る。
どのように計画を立てて、実行するに至ったか、何故失敗したのかが、
はっきりと分かる構成になっている。
「ユージュアル・サスペクツ」とまではいかないが、しっかりとまとめ上げた
ブライアン・シンガーの構成力は素晴らしいの一言。
それに加えて、俳優陣の演技も緊張感たっぷりで超リアル。
特に、弱気なビル・ナイのピリピリした演技には、
ハラハラさせられっぱなし。
結末は分かってるのに。
これが歴史映画の面白いところ。
またナチス映画好きも納得できるディテールの忠実さも必見。
実際の現場などでロケを行い、既に無くなっている場所は、 膨大な資料を元にセットとCGで再現。
地味な内容なのに、7500万ドルもの制作費がかかってしまったのも納得。
ちなみに、経営難だったユナイテッド・アーティスツを助ける格好で、
トム・クルーズが幹部に就任。
その一発目の大型企画として制作されたのが、この作品。
結果は、北米市場での興行収入は、
8300万ドルでクリスマスシーズン公開作品としては惨敗。
しかし、海外での興行収入が1億1700万ドルで、
合計2億ドルの大ヒット。
トムクル作品としては物足りないが、ナチス映画としては、
かなりの好成績を残した。
11/25
ナシ
11/26
ナシ
11/27
ナシ
11/28
【ファニーゲーム U.S.A(2008)】
ナチスつながりのドイツつながりで、
ドイツの映画作家ミヒャエル・ハネケ作品を鑑賞。
97年にオーストリアで制作された作品のハリウッド・リメイク。
・・・だが、完全にハネケのアンチハリウッドの精神が全面に出た作品になっている。
そもそも、オリジナルのテーマは、ハリウッドのご都合主義を徹底的に皮肉る事で、
作品が成立するのか?という実験的演出の実践でもあった。
突然カメラに向かって喋りかけたり、一番生き残りそうな人物が最初に殺されたり、
という、映画的セオリーを無視するという手法。
それをハリウッドでハリウッドの俳優やスタッフを使って制作する事で、
どういう面白さが出るのか。
ストーリーもほぼ同じで、メインキャストにナオミ・ワッツとティム・ロス。
この夫婦を地獄に陥れるのが、「完全犯罪クラブ」で異様な雰囲気を出していたマイケル・ピット。
こいつ、もうじき28にもなるのに、童顔なので学生役が出来てしまう。
ピットは、残酷ともいえる無邪気さを表現するのが、めちゃくちゃウマい俳優だ。
もちろん、ピットが何故ナオミ・ワッツやティム・ロスを殺そうとするのかは、
最後まで分からないのだが、ピットの演技が実に上手いので、
途中からは、ピットを応援する感じになる。
というか、「お前、ここで逃げられるだろ!」とか「普通、ここで反撃するだろ!」とか、
通常のセオリーに当てはまらないナオミ・ワッツやティム・ロスの行動にイライラさせられて、
悪役を応援してしまうのだ。
こういう感情移入の錯誤感に、ミヒャエル・ハネケの演出におけるロジックがあるらしい。
徹底的にご都合主義の逆を行く展開なので、
絶対にハッピーエンドにならないのは分かっているのだが、
後味は悪くない。
この不思議な感覚はクセになりそうだ。
11/29
【GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0(2008)】
公開当時、オリジナルを劇場で観た事無かったので、
観に行きたかったのだが、観そびれてしまった作品。
弊社アート・ディレクターの「内容は全く同じだよ」の言葉通り、
まっっっっったく同じだった。
それどころか、新作カットが「だからどうした」的な仕上がり。
これだったら、オリジナルのままでいいや。
今日日、2Dアニメをそこそこの3DCGにしたからって印象なんて変わらない。
せいぜい「イノセンス」との作画的なクオリティーの差異を少しばかり
埋める事ができただけだ。
これって、「スターウォーズ」のDVDを発売するたびに映像に手を加える、
ジョージ・ルーカスの悪しき慣習と同じだ。
どれがお前のベストなんだ!はっきりしろ!と強く言いたい。
リドリー・スコットは「グラディエーター エクステンデットバージョン」を
リリースした際に、「ディレクターズカットは公開版だが、これはこれで楽しめ!」と
言ってのけた。
改訂版をリリースするのは勝手だが、作家として明言してほしいものだ。
まぁ、そういうスコットも「ブレード・ランナー」で同じ事をして結論が出ていないが。
いずれにしても後出しジャンケンをされているようで、少し騙された気分になる。
11/30
ナシ
今週末は私用で実家に帰るため、どれだけ映画を観れるだろうか・・・。
あと、今頃になって「鬼平犯科帳」の面白さに気付いてしまったので、
かたっぱしからDVDを借りまくっている。
来週は鬼平しか観ないかもしれない。鬼平っていいなぁ。
ウエダでした。
名作と言われているだけあって、確かに面白いのだが、
HDDレコーダーにドラマを録画しているので、
それを観ちゃえばさっさと分かるじゃん!と言ったところ、
ドラマはかなり端折っているので、原作を読んでからの方が良いとのこと。
しかし、ダメだと言われると観たくなるのが人間というもの。
日々、ドラマを観たい衝動と戦っているのだが、もう時間の問題だ・・・。
11/24
【ワルキューレ(2008)】
「イングロリアス・バスターズ」つながりで、
ナチスムービー(サマラムービーみたい)祭り。
1944年に実際に起きたヒトラー暗殺事件を描く。
史実を知っていれば、
この暗殺計画が未遂の終わるのは明らかなので、
この作品のハードルはかなり高い。
しかし、監督のブライアン・シンガーが注力したのは、
じっくりと暗殺計画を描く事。
サスペンスを盛り上げるためにあの手この手で派手な趣向を凝らさず、
真っ正面から登場人物の目的や理想、葛藤を丁寧に描いている。
それが功を奏して、かなり面白く仕上がっている。
1943年、ドイツはほとんどの戦線で負けまくっていたにも関わらず、
ヒトラーは戦争を止めようとしなかった。
そこで、一部の将校がワルキューレ計画を実行する。
このワルキューレ計画というのが、クーデター時の対策案で、
国内に戒厳令をひき、全官庁、党機関、通信など全てを掌握するというもの。
この映画で描かれるワルキューレ計画とはクーデターの成功までを指す。
つまり、戒厳令によってスムーズに政権移行ができる特性を利用して、
ヒトラーやヒムラーなどのナチス党の首脳陣をまとめて爆殺し、
通信を巧みに利用して、周囲にクーデターだと匂わせずに政権を掌握するという、
かなりの難ワザ。
計画から実行、収束までを、きっちり2時間かけて描き切る。
どのように計画を立てて、実行するに至ったか、何故失敗したのかが、
はっきりと分かる構成になっている。
「ユージュアル・サスペクツ」とまではいかないが、しっかりとまとめ上げた
ブライアン・シンガーの構成力は素晴らしいの一言。
それに加えて、俳優陣の演技も緊張感たっぷりで超リアル。
特に、弱気なビル・ナイのピリピリした演技には、
ハラハラさせられっぱなし。
結末は分かってるのに。
これが歴史映画の面白いところ。
またナチス映画好きも納得できるディテールの忠実さも必見。
実際の現場などでロケを行い、既に無くなっている場所は、 膨大な資料を元にセットとCGで再現。
地味な内容なのに、7500万ドルもの制作費がかかってしまったのも納得。
ちなみに、経営難だったユナイテッド・アーティスツを助ける格好で、
トム・クルーズが幹部に就任。
その一発目の大型企画として制作されたのが、この作品。
結果は、北米市場での興行収入は、
8300万ドルでクリスマスシーズン公開作品としては惨敗。
しかし、海外での興行収入が1億1700万ドルで、
合計2億ドルの大ヒット。
トムクル作品としては物足りないが、ナチス映画としては、
かなりの好成績を残した。
11/25
ナシ
11/26
ナシ
11/27
ナシ
11/28
【ファニーゲーム U.S.A(2008)】
ナチスつながりのドイツつながりで、
ドイツの映画作家ミヒャエル・ハネケ作品を鑑賞。
97年にオーストリアで制作された作品のハリウッド・リメイク。
・・・だが、完全にハネケのアンチハリウッドの精神が全面に出た作品になっている。
そもそも、オリジナルのテーマは、ハリウッドのご都合主義を徹底的に皮肉る事で、
作品が成立するのか?という実験的演出の実践でもあった。
突然カメラに向かって喋りかけたり、一番生き残りそうな人物が最初に殺されたり、
という、映画的セオリーを無視するという手法。
それをハリウッドでハリウッドの俳優やスタッフを使って制作する事で、
どういう面白さが出るのか。
ストーリーもほぼ同じで、メインキャストにナオミ・ワッツとティム・ロス。
この夫婦を地獄に陥れるのが、「完全犯罪クラブ」で異様な雰囲気を出していたマイケル・ピット。
こいつ、もうじき28にもなるのに、童顔なので学生役が出来てしまう。
ピットは、残酷ともいえる無邪気さを表現するのが、めちゃくちゃウマい俳優だ。
もちろん、ピットが何故ナオミ・ワッツやティム・ロスを殺そうとするのかは、
最後まで分からないのだが、ピットの演技が実に上手いので、
途中からは、ピットを応援する感じになる。
というか、「お前、ここで逃げられるだろ!」とか「普通、ここで反撃するだろ!」とか、
通常のセオリーに当てはまらないナオミ・ワッツやティム・ロスの行動にイライラさせられて、
悪役を応援してしまうのだ。
こういう感情移入の錯誤感に、ミヒャエル・ハネケの演出におけるロジックがあるらしい。
徹底的にご都合主義の逆を行く展開なので、
絶対にハッピーエンドにならないのは分かっているのだが、
後味は悪くない。
この不思議な感覚はクセになりそうだ。
11/29
【GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0(2008)】
公開当時、オリジナルを劇場で観た事無かったので、
観に行きたかったのだが、観そびれてしまった作品。
弊社アート・ディレクターの「内容は全く同じだよ」の言葉通り、
まっっっっったく同じだった。
それどころか、新作カットが「だからどうした」的な仕上がり。
これだったら、オリジナルのままでいいや。
今日日、2Dアニメをそこそこの3DCGにしたからって印象なんて変わらない。
せいぜい「イノセンス」との作画的なクオリティーの差異を少しばかり
埋める事ができただけだ。
これって、「スターウォーズ」のDVDを発売するたびに映像に手を加える、
ジョージ・ルーカスの悪しき慣習と同じだ。
どれがお前のベストなんだ!はっきりしろ!と強く言いたい。
リドリー・スコットは「グラディエーター エクステンデットバージョン」を
リリースした際に、「ディレクターズカットは公開版だが、これはこれで楽しめ!」と
言ってのけた。
改訂版をリリースするのは勝手だが、作家として明言してほしいものだ。
まぁ、そういうスコットも「ブレード・ランナー」で同じ事をして結論が出ていないが。
いずれにしても後出しジャンケンをされているようで、少し騙された気分になる。
11/30
ナシ
今週末は私用で実家に帰るため、どれだけ映画を観れるだろうか・・・。
あと、今頃になって「鬼平犯科帳」の面白さに気付いてしまったので、
かたっぱしからDVDを借りまくっている。
来週は鬼平しか観ないかもしれない。鬼平っていいなぁ。
ウエダでした。
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